調達管理は、調達先との相互関係をマネジメントし、契約のパフォーマンスを監視し、必要に応じて変更と是正を行うプロセスです。

調達管理プロセスは、納入者のパフォーマンスが契約上の要求事項を満たすこと、購入者は契約条件に従って行動していることを確実にすることが主な活動になります。

契約管理には、適切なプロジェクト・マネジメント・プロセスを契約上の相互関係に適用し、適用したプロセスからのアウトプットをプロジェクト全体のマネジメントに統合します。
主なプロジェクト・マネジメント・プロセスには以下のようなものがあります。

さらに契約管理には、以下の2つの活動も行います。

  • 納入者に対する支払いを監視する財務のマネジメントを行う
  • 契約に基づいた納入者の現在およびこれまでの契約履行状況をレビューし、文書化し、必要な場合には是正処置を確定する

調達管理

インプット

調達文書

調達文書は、12.1 調達計画のアウトプットです。

プロジェクトマネジメント計画書

プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書である、調達マネジメント計画書を参照します。
調達マネジメント計画書は、12.1 調達計画のアウトプットです。

契約

12.2 調達実行のアウトプットである、調達契約締結のことです。

実績報告書

実績報告書は、パフォーマンスに関する文書になり、以下のような内容が含まれています。

  • 納入者が契約条件に沿って作成する技術文書や要素成果物の情報
  • 納入者の実績報告書

承認済み変更要求

以下の内容を参照します。

  • 調達作業範囲記述書
  • 価格
  • プロダクト・サービス・所産の記述

作業パフォーマンス情報

以下の内容を参照します。

  • 品質標準の達成度合い
  • 発生または確定したコスト
  • 納入者からの請求書への支払い状況

ツールと技法

契約変更管理システム

契約変更管理システムは、調達を変更する際のプロセスを規定したものです。契約変更管理システムは、統合変更管理システムに統合されます。
契約変更管理システムには、以下のような内容が含まれます。

  • 手続き
  • 変更追跡システム
  • 紛争解決の手続き
  • 変更の認可に必要な承認レベル

調達パフォーマンス・レビュー

調達パフォーマンス・レビューは、納入者の進捗について体系的にレビューします。
調達パフォーマンス・レビューには、以下のような内容が含まれます。

  • 作業実施における成功や失敗の特定
  • 調達作業範囲記述書に対する進捗状況の特定
  • 契約不履行の特定

検査および監査

検査と監査は、購入者が要求し、納入者がサポートするもので、調達契約の規定に従って行われます。

実績報告

実績報告は、納入者がいかに効果的に契約の目標を達成しているかに関する情報をマネジメント層に提供します。

支払システム

納入者への支払は、作業結果を検収した後で、購入者の売掛管理システムにより処理されます。

クレーム管理

クレームは、契約条件に従って、契約のライフサイクルを通して、文書化、処理、監視、マネジメントします。当事者だけではクレームを解決できない場合、契約書で定めた紛争解決手続き(ADR)の手順に従って処理します。
クレームの処理は、当事者の話し合い → ADR → 裁判所の順番に実施します。

記録マネジメント・システム

プロジェクトマネジャーは、契約や調達に関する文書の作成や記録をマネジメントするために使用します。記録マネジメント・システムは、プロジェクトマネジメント情報システムの一部で、一連の具体的なプロセス、関連する管理機能、自動化ツール等を組み合わせて統合したものです。

アウトプット

調達管理文書

以下の内容を記述します。

  • 調達契約とすべての補助の一覧表
  • 未承認の契約変更要求事項
  • 承認済み変更要求事項
  • 納入者が作成した技術文書
  • 要素成果物
  • 納入者の実施報告書
  • 保証書
  • 請求書
  • 支払記録
  • 契約関連の検査結果

調達管理文書と調達文書は別物ですので注意してください。調達文書は調達計画のアウトプットです。

組織のプロセス資産更新版

以下の内容を記述します。

  • コレスポンデンス
    購入者と納入者との間にある特定のコミュニケーションの一部について文書化を義務づけることが多いです。
    契約に関する書面および回頭によるすべての交信、ならびに実施した処置と意思決定について、完全かつ正確な記録を維持します。
  • 支払予定と支払要求
    すべての支払は、調達契約の契約条件に従って行うべきです。
  • 納入者パフォーマンス評価文書
    購入者は納入者パフォーマンス評価文書を作成します。パフォーマンス評価の結果を適格納入者リストに反映します。

変更要求

プロジェクトマネジメント計画書への変更要求です。 解釈上の変更に対して、当事者の一方が異議を唱えると、相手方へのクレームになる場合があるので、そのような変更は個別に特定し、コレスポンデンスによって文書化しておきます。

プロジェクトマネジメント計画書更新版

以下の内容を記述します。

  • 調達マネジメント計画書
  • スケジュール・ベースライン

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