アクティビティ所要期間見積りは、想定した資源を使用して個々のアクティビティを完了するために必要な作業期間を見積もるプロセスです。アクティビティ所要期間見積りは、アクティビティの作業スコープ、必要な資源の種類、資源量の見積り、資源カレンダー等の情報を使って行います。

アクティビティ所要期間見積り

所要期間見積りは段階的に詳細化されるもので、インプットデータの品質や可用性を考慮してアクティビティ所要期間見積りのプロセスを実行していきます。
通常のプロジェクトは、設計作業が進みに従って、より詳細で正確なデータが利用出来るようになり、所要期間見積りの精度も高くなります。つまり、所要期間見積りは段階を追ってより精度が高まり、品質も向上していきます。

インプット

アクティビティ・リスト

アクティビティ定義プロセスのアウトプットです。

アクティビティ属性

アクティビティ定義プロセスのアウトプットです。

アクティビティ資源に対する要求事項

アクティビティ資源見積りプロセスのアウトプットです。
アクティビティに割り当てられる資源とその資源の可用性は、そのアクティビティの所要期間に大きな影響を及ぼします。そのため、設定したアクティビティ資源に対する要求事項は、所要期間見積りのための重要なインプットとなります。

資源カレンダー

アクティビティ所要期間見積りに影響を及ぼす資源カレンダーには、以下の情報が含まれています。

  • 人的資源の種類、可用性、および能力
  • 機器や資材などの資源の種類、量、可用性、性能

プロジェクト・スコープ記述書

アクティビティ所要期間見積りに影響を及ぼすプロジェクト・スコープ記述書には、以下の情報が含まれています。

  • 現行の状態
  • 情報の可用性
  • 報告する期日の間隔
  • 使用可能なスキルのある人員
  • 契約条件と要求事項

組織体の環境要因

アクティビティ所要期間見積りに影響を及ぼす組織体の環境要因には以下の情報が含まれます。

  • 所要期間見積りデータベース
  • 生産性尺度
  • 市販の公開情報

組織のプロセス資産

アクティビティ所要期間見積りに影響を及ぼす組織のプロセス資産には以下の情報が含まれます。

  • 所要期間についての過去の情報
  • プロジェクト・カレンダー
  • スケジューリング方法論
  • 教訓

ツールと技法

専門家の判断

過去の類似プロジェクトの経験から、所要期間見積りの情報を得たり、最長のアクティビティ所要期間の提示を受けたり出来ます。
さらに専門家の判断は、複数の見積り方法を組み合わせて使うかどうか、およびそれらの結果の違いをどう調整するかなどを決める場合にも使われます。

類推見積り

類推見積りは、過去の類似プロジェクトから得た所要期間や予算、規模、重量、複雑さなどのパラメータを使って、相対的に見積りを行う方法です。
所要期間の類推見積りは、プロジェクトの初期段階など、プロジェクトについて詳細な情報が少ない場合によく使用されます。
類推見積りは、一般に他の技法よりもコストや時間はかかりませんが、精度は劣ります。類推見積りの信頼性がもっとも高くなるのは、過去のアクティビティが実質的に類似していて、見積りを行うプロジェクト・チームに必要な専門知識が備わっている場合です。

係数見積り

係数見積りは、過去の情報とその他の変数との統計的関係を使って、コストや予算、所要期間などのアクティビティの係数を見積もる方法です。
アクティビティ所要期間は、実行すべき作業量と作業単位当たりの作業期間を掛け合わせることで定量的に見積もることができます。
この技法は、見積りモデルの精微さや組み込まれた基盤データに応じて見積りの精度を高めることができます。

三点見積り

三点見積りは、パート技法(PERT)から生まれた考え方で、見積りの精度は、見積りの不確実性やリスクを考慮に入れることで高める技法です。
三点見積りは、以下の3種類の見積り値を使用して、加重平均することで期待値を求めます。

  • 最頻値
    投入の可能性が高い資源、資源の生産性、資源の可溶性などを考慮したときのアクティビティ所要期間。
    最も現実的なシナリオに基づく所要期間。
  • 楽観値
    アクティビティについて最良のシナリオによる分析に基づく所要期間。
  • 悲観値
    アクティビティについて最悪のシナリオによる分析に基づく所要期間。

上記3種類の見積りを加重平均することで、期待値を計算します。
公式は以下の通り。

所要期間(期待値)= (楽観値+4×最頻値+悲観値)/ 6

予備設定分析

スケジュールの不確実性を補うために、プロジェクト・スケジュール全体に対してコンティンジェンシー予備を設ける場合もあります。
コンティンジェンシー予備(時間予備またはバッファーとも呼ばれる)は、見積もったアクティビティ所要期間に対する一定割合としたり、ある一定の作業期間としたり、定量的分析手法を使って設けられる場合もあります。

アウトプット

アクティビティ所要期間見積り

アクティビティ所要期間見積りは、アクティビティを完了するために必要な作業期間の見込み時間数を定量的に評価したものです。所要期間見積りにはラグは含めません。
また、アクティビティ所要期間見積りに、変動幅をもたせることもあります。

プロジェクト文書更新版

更新されるプロジェクト文書には、以下のものがあります。

  • アクティビティ属性
  • アクティビティ所要期間見積りを行う上での前提条件。(要員のスキル・レベルや可用性などがあります)

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