プロジェクトの立上げを公式に認可することで、プロジェクト・マネジャーに組織の資源をプロジェクト活動に使用する権限が与えられます。
プロジェクト・マネジャーは、この立上げプロセスにおいて任命されるわけですが、当然このプロセスに早くから加わることが望まれます。

プロジェクト憲章は、プロジェクトと組織の戦略や定常業務とを結び付けるもので、プロジェクトの方向性を決める重要な文書です。
プロジェクト憲章が承認されると、プロジェクトが公式に開始されます。
立上げプロセスを通して母体組織とプロジェクト起案組織の間に協力関係を確立します。

プロジェクトは、スポンサーやPMO、ポートフォリオ運営委員会などの、プロジェクト組織の外部の人によって認可されます。
本来はプロジェクトのイニシエーターやスポンサーがプロジェクト憲章を作成しますが、プロジェクト・マネジャーが委任され、作成することもあります。
イニシエーターはがプロジェクト憲章に署名することにより。プロジェクトは認可されます。

※ここからは各プロセスごとに、インプット、ツールと技法、アウトプットについて表でまとめていきます。
どのプロセスが、どんなインプット、ツールと技法、アウトプットを使っているのかについては、試験で必ず出題されるので、試験当日までに必ず暗記しておきましょう。

統合マネジメントのインプット、ツールと技法、アウトプット

インプット

プロジェクト作業範囲記述書(SOW:Statement of Work)

プロジェクト作業範囲記述書はSOWとも呼ばれ、PMBOKでは「プロジェクトが提供するプロダクトやサービスを記述した文書」と定義されています。
組織の内部プロジェクトの場合は、イニシエーターやスポンサーが作成しますが、組織の外部プロジェクトの場合は、顧客が作成します。

SOWには以下の項目を盛り込むことと記述されています。

  • ビジネス・ニーズ
    組織のビジネス・ニーズは、市場の需要、技術的進歩、法的要件、国家の規制などが基になります
  • 成果物スコープ記述書
    プロジェクトが生成する成果物の特性を文書化したもの。プロジェクトが取り組むビジネス・ニーズとの関係も記述されます。
  • 戦略計画
    組織の目標達成とプロジェクトの整合性を明確にする

ビジネス・ケース

そもそもプロジェクトが投資する価値があるかどうかを決めるビジネス上の観点から、必要な情報を提供する。
ビジネス・ケースには通常、ビジネス・ニーズの記述と費用便益分析が含まれます。
また、ビジネス・ケースは以下のようなことを契機に作成されます。

  • 市場の需要
    例)自動車会社がガソリン不足に対応して低燃費車を開発
  • 組織のニーズ
    例)トレーニング会社が売上拡大のために新コースを開発
  • 顧客要求
    例)電力会社が新しい工業団地向けに新変電所を開発
  • 技術的進歩
    例)電気機器メーカーが技術の進歩を受けて、低価格・小型のノートパソコンを開発
  • 法的要求
    例)化学品メーカーが新しい有毒物質の取扱ガイドラインを策定
  • 生態系への影響
    例)環境への影響を緩和する製品の開発
  • 社会的ニーズ
    例)発展途上国に飲料水施設を設置するプロジェクトを認可

PMP試験では、ビジネス・ケースが作成される契機について問われる可能性が高いため、上記の項目については覚えておくこと。

契約

外部顧客のために実施するプロジェクトでは契約がインプットになります。

組織体の環境要因

・国家規格や業界標準
・組織のインフラストラクチャー
・市場の状況

組織のプロセス資産

・組織の標準プロセス、方針、組織で使用する標準化されたプロセス定義
・テンプレート
・過去の情報と教訓の知識ベース

ツールと技法

専門家の判断

インプットの情報を評価するために、専門家の知識を利用します。
PMBOKでは、専門家とは「分野特有の知識をもっているグループや個人、あるいはトレーニングを受けたグループや個人」と定義されています。
専門知識の情報源として以下のようなものがあります。

・組織内の他の部門
・コンサルタント
・顧客やスポンサーも含むステークホルダー
・専門家の協会や技術関連の協会
・業界団体
・当該分野の専門家
・プロジェクトマネジメント・オフィス(PMO)

この「専門家の判断」ですが、統合マネジメントプロセスのすべてのツールと技法で必ず存在しています。
また、「専門家の判断」という名称ですが、専門家が最終的な判断をするわけではないことは覚えておきましょう。
あくまでも参考にするだけで、最終的に判断するのは各プロセスの責任者です。

アウトプット

プロジェクト憲章作成

最終的なアウトプットとして、プロジェクト憲章が作成されます。
公式に承認されたものとしては、以下の3つの記述が含まれます。

  • ビジネス・ニーズ
  • 顧客ニーズの現状での認識
  • プロジェクト憲章が企図する新しいプロダクト、サービス、所産

また、上記の記述は以下の内容が含まれています。

  • プロジェクトの目的や妥当性
  • プロジェクトの目標および成功基準
  • ハイレベルの要求事項
  • ハイレベルのプロジェクト記述
  • ハイレベルのリスク
  • 要約マイルストーン・スケジュール
  • 要約予算
  • プロジェクト承認要件
  • 任命されたプロジェクト・マネジャーの氏名、責任、権限
  • プロジェクト憲章を承認した人、あるいはスポンサーの氏名と地位

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