スコープ定義は、「プロジェクトおよび成果物に関する詳細な記述書を作成するプロセス」と定義されています。
詳細な記述書とは、スコープ記述書のことで、スコープ記述書を詳細に記述していくことは、プロジェクトを成功させるためには非常に重要な作業になります。
作成されたスコープ記述書はこの後のプロジェクトの全ライフサイクルに渡って参照される非常に重要なプロセスです。

スコープ定義のインプット、ツールと技法、アウトプットは以下の通りです。

スコープ定義

プロジェクト記述書は、プロジェクト立ち上げ時に文書化された要素成果物や前提条件、制約条件等をふまえて、詳細に定義され、記述されます。(段階的詳細化)

インプット

プロジェクト憲章

プロジェクト総合マネジメントエリアにある、「プロジェクト憲章作成」プロセスのアウトプットです。
4.1 プロジェクト憲章作成

要求事項文書

プロジェクト・スコープ・マネジメントエリアにある、「要求事項収集プロセス」のアウトプットです。
5.1 要求事項収集

組織のプロセス資産

スコープ定義プロセスに影響を与えるものとして、以下の資産が記載されています。

  • プロジェクト・スコープ記述書のための方針、手順、テンプレート
  • 過去のプロジェクトのプロジェクト・ファイル
  • 過去もフェーズやプロジェクトからの教訓

ツールと技法

専門家の判断

専門知識の情報源としては、以下のようなものがあります。

  • 組織内の他部門
  • 当該分野の専門家
  • 顧客やスポンサーを含むステークホルダー
  • 業界団体

プロダクト分析

一般的なプロダクト分析としては以下のようなものがあります。

  • プロダクト・ブレークダウン
  • システム分析
  • 要求事項分析
  • システム工学
  • 価値工学
  • 価値分析

代替案識別

代替案識別に利用できるものとしては以下のようなものがあります。

  • ブレーンストーミング
  • 水平思考法
  • 一対比較法

ファシリテーション型ワークショップ

要求事項収集プロセスにもありましたが、スコープ定義プロセスのツールと技法でも活用できます。
5.1 要求事項収集

アウトプット

プロジェクト・スコープ記述書

プロジェクト・スコープ記述書には、プロジェクトの要素成果物と、要素成果物を生成するために必要な作業について詳細に記述します。

プロジェクト・スコープ記述書に記載する項目は以下のとおり。

成果物スコープ記述書

プロジェクト憲章および要求事項文書に記述のあるプロダクト、サービス、所産等の特性を段階的に詳細化します。

成果物受入れ基準

完成したプロダクト、サービス、所産等を受け入れるプロセスと基準を設定します。

プロジェクトの要素成果物

要素成果物はプロジェクトのプロダクトやサービスからなるアウトプットと、プロジェクトマネジメントの報告書や書類のような補助的な所産の両方を含みます。

プロジェクトからの除外事項

プロジェクトから除外する内容を幅広く特定します。
プロジェクトのスコープ外である事項を明示的に記述しておくことは、プロジェクト上のトラブルを未然に防ぐ意味でも非常に重要です。

プロジェクトの制約条件

制約条件とは、プロジェクトやプロセスのパフォーマンスに影響を与えるであろう限定や制限のこと。
チームの選択肢を制限するようなプロジェクトの制約条件で、プロジェクト・スコープに関連した特定の制約条件をリストアップして記述します。

プロジェクトの前提条件

前提条件とは、100%確実ではないが、真実あるいは確実であろうと思われる要因のこと。
プロジェクト・スコープと関連したプロジェクトの特定の前提条件と、その前提条件が間違っていた場合に及ぼす潜在的な影響について記述します。

プロジェクト文書更新版

更新されるプロジェクト文書更新版には、以下のような文書があります。

  • ステークホルダー登録簿
  • 要求事項文書
  • 要求事項トレーサビリティ・マトリックス

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