BGP -BGP Path Attributes (パス属性) その1-


BGP Path Attributes (パス属性)

BGPのUPDATEメッセージにはパス属性というフィールドがあります。BGPでは、このパス属性を用いて柔軟なルーティングポリシーを行うことが可能です。

・UPDATE Message Format

パス属性は4つのカテゴリーに分類されます。

  • Well-known mandatory (周知強制)
  • Well-known discretionary (周知任意)
  • Optional transitive (オプション通過)
  • Optional non-transitive (オプション非通過)

Well-known mandatory (周知強制):
すべてのBGPルータが識別しなくてはならない属性で、すべてのUPDATEメッセージに必ず含まれている必要がある。

Well-known discretionary (周知任意):
すべてのBGPルータが識別しなくてはならない属性だが、必ずしもすべてのUPDATEメッセージに含まれる必要はない。

Optional transitive (オプション通過):
すべてのBGPルータが識別する必要のない属性で、もしこの属性を識別できないルータがあったとしたら、そのままその属性を通過させる。

Optional non-transitive (オプション非通過):
すべてのBGPルータが識別する必要のない属性で、もしこの属性を識別できないルータがあったとしたら、そのルータを通過する際、この属性は無視する。

それではそれぞれの属性について詳しく見ていきましょう。

 

BGP:ORIGIN 属性

ORIGIN属性は、周知強制です。属性値として経路情報の生成元を示します。

優先度 説明
IGP Network Layer Reachability Information(NLRI; ネットワーク レイヤ到着可能性情報)がAS内から学習したことを示す。IGPがBGPに再配布された時などが該当します。
EGP NLRIがEGPから学習したことを示す。
Incomplete
NLRIが不明であるか、"IGP""EGP"以外から学習したことを示す。StaticRouteを再配布した場合が該当します。

 

BGP:AS_PATH属性

AS_PATH属性は、周知強制です。経路更新がASを通過するたびに、自分のAS番号を付加し次ルータへ渡していくことにより、ASパスリストを形成していきます。
もし自分のAS番号が含まれているUPDATEメッセージを受け取った場合、その情報はデフォルトでは無視します。このことでルーティングループを防止します。(設定により取り入れることも可能)

BGP:NEXT_HOP属性

NEXT_HOP属性は、周知強制です。宛先に対する転送先として用いるIPアドレスを定義します。ただし、通常のIGPでのNEXT_HOPとは若干概念が違います。

  • iBGPピアへ経路を広告する場合は、通常のIGPと同様にNEXT_HOPが使用されます。
  • eBGPピアへ経路を広告する場合は、自ルータのアドレスをNEXT_HOP値として転送します。

ただしマルチアクセスネットワークやNBMAネットワークでeBGPのピアを確立している場合は、既存のNEXT_HOP値のまま転送されます。

(1)マルチアクセスネットワークの場合

上記のような構成のマルチアクセスネットワークの場合、RTCから広告されたNetwork(192.168.1.0/24)を受け取ったRTBはeBGPを使用しRTAへ経路の更新を行います。そのとき、通常であれば自ルータのアドレス(172.16.1.2)をNEXT_HOP値として転送しますがマルチアクセスネットワークの場合は、既存のNext_Hop値(172.16.1.3)のまま転送されます。
これはRTAから192.168.1.0/24へ到達するためには、RTBを経由するよりも直接RTCに行く方が効率が良いためです。

(2)NBMAの場合

NBMAネットワークの場合もマルチアクセスネットワークと同様に、既存のNext_Hop値(172.16.1.3)のまま転送されます。
ただし上の構成の場合、RTAからRTCへのFrameRelayのパスが存在しないためNext_Hop(172.16.1.3)に到達することが出来ません。
そこでこのような問題を解決するためにCiscoルータではnext-hop-selfというコマンドがあります。

Router(config-router)#neighbor ip-address next-hop-self

このコマンドを使用すると、Next_Hopを172.16.1.2に書き換えて転送します。

設定例)
RTB(config)#router bgp 20
RTB(config-router)#neighbor 172.16.1.1 remote-as 10
RTB(config-router)#neighbor 172.16.1.1 next-hop-self

BGP -BGP Path Attributes (パス属性) その2-

 

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