情シス担当者が陥りやすい5つの勘違い(社内コミュニケーション編)

4月は出会いと別れの季節。ピッチピチの新入社員が入社してきたり、団塊世代の荒波を泳ぎ切り、ついに定年を迎えて会社を去る方がいたり、期待と不安を抱きながら新しい職場に異動される方も多い時期です。

これから情報システム部門へ異動になる方や、新人で情報システム部門に配属になる方もいると思います。

そんなこれから情シスで働こうとしている方に質問です。

「情シス担当者にとって必要なスキルや知識とは何でしょうか?」

情シスにとって必要なスキルとして、技術スキルを最初に思い浮かべる方も多いのではないかと思います。それ自体は決して間違いではありませんが、中には「技術さえあればよい」と考えている人も少なくないようです。そのため、「人よりも機械としゃべるほうが大好き」といった人材が情シスへの配属を希望するケースが多いとも聞きます。

ただ、実際の情シスの仕事のイメージは大きく異なり、非常に高いコミュニケーション力を要求される職場だったりします。いざ配属されてから「こんなはずじゃなかった……」と後悔されるケースも多く見受けられるようです。

そこで、今回は、これから夢と期待を持って情シス担当者になろうとしている方に向けて、情シス担当者が陥りやすい7つの勘違いをご紹介しながら、情報システム部門の仕事において本当に必要なスキルについて考えていきたいと思います。ぜひ、今後のステップアップに役立ててくださいね。

情シス担当者が陥りやすい5つの勘違い

1. 現場に行っている暇なんかないんですよ!

情シスで働いている方の中には、社内の業務に関心がなく、現場社員とのコミュニケーションも十分にしないで、現場部門との乖離が大きくなっている方が少なくありません。情シス部門こそ社内の業務に精通していなければいけないのに、乱暴な言い方をすれば自分の世界に逃げ込んじゃうような人ですね。

現場の社員が「お客様」であるはずの情シス部門が、実はお客様とのコミュニケーションがとれていないのは寂しいものです。

以前、ある情シス担当の方から「現場は要件も決めないし、勉強もしないで無理ばかり言ってくる。特にAさんはITのスキルがなさすぎる」と言われたことがあります。よくよく聞いてみると、直接現場に行ったことは一度も無く、すべて電話かメールでのやり取りしかなかったとのことです。

情シスという部門は、どうしても現場から文句を言われることが多く、褒められることが少ない部門です。システムは「動いて当たり前」という考えが強いので、システムが正常に稼働している時は何も言われず、障害でシステムが止まると責められがちです。

常に現場から非難を浴びやすい職場のため、どうしても現場とコミュニケーションを取りたがらない傾向が強いように思います。社内体制の問題もあるのかもしれませんが、自分たちで壁を作ってしまうのは何の解決にもなりません。

自分から情報を取りに行く、コミュニケーションしにいくことをしないと、社内の業務も理解出来ないですし現場との関係も良好にならないんじゃないかなと思います。

2.最新技術を取り入れれば、社内の問題は改善するはずです!

「社内の課題は最新技術を導入すれば万事解決。だからこそ社内システムにどれだけ最新技術や高度な技術を盛り込めるかが勝負の分かれ目ですよぅ!」などと大きな勘違いをされている情シスさんをたまに見かけます。

最新技術を取り込んだソリューションだったり、高度な技術を盛り込んだシステムを構築すれば、利用する社員は勝手に付いてくると勘違いしているようです。
でも実際は、いくら高度な技術を盛り込んだとしても、それを利用する社員が求めているシステムではないなら、構成が複雑になるだけのお荷物に過ぎません。

ITに詳しい人はどうしても技術ありきで物事を考えがちで、最新技術を盛り込みたがる生き物です。

しかし、目的と結果をはき違えちゃいけません。社員にとって最新技術など、どうでもよいことなのです。あくまでも、目的は社員や会社が抱えている課題を解決すること。その目的を達成するために、最新技術が必要であれば盛り込めばよいのです。

同じような考え方で、細部までこだわって、可能な限り細かいチューニングをした方がよいと考える情シスさんもいますが、これも半分正解だけど、半分間違っています。

モノを作り上げる時の基本は、「出来るだけシンプルに」が基本です。
顧客が求めてもいないのに、細部にまでこだわって、細かい制御を行うと物事が複雑化し過ぎて思わぬトラブルのもとです。

仮に顧客の要望を満たすために細かい制御が必要な場合は、念入りな検証を行い、事前に想定通りの動作をするかどうかをきっちりと確認しておきましょう。

今一度、社員や会社が抱えている課題を解決するにはどうすればよいのか?という疑問に立ち返って考えてみることが重要です。

3. 情シスにとってのお客様って誰でしたっけ?

情シスに対するお客様といえば、システムを利用する現場の社員になります。

現場の社員も、ある程度のITスキルを持っていると思い込み、こちらがごく当たり前だと思っている技術的な話を普通にしてしまいがちです。
よく、得意げに技術的な話をマシンガンのように繰り広げるエンジニアがいますが、社員にとってはただのありがた迷惑でしかないかもしれません。

現場から「パソコンが立ち上がらないからすぐに見に来てくれ」と言われて言ってみたらコンセントが抜けていただけとか、「そんなの自分たちで切り分けしてくれよ・・・」と思えるような問い合わせが多いのも事実で、そんな対応ばかりだとついつい自分目線で会話してしまう気持ちはよく分かります。
分かるんだけれども、そこはグッとこらえましょう。お互いが歩み寄らないと平行線のままですしね。

「お客様の立場に立って考えることがビジネスの基本」と良く言われますが、それは情シスの仕事にも当てはまると思います。
社員と会話する時は「もしかしたらこの会話は、敷居が高くて理解してもらえていないかも」と考えるようにしましょう。
会話の中で社員の技術的スキルをある程度把握しつつ、社員のレベルに合わせた会話を心がけることが大事です。

4.障害が発生しただと?情シスの見せ場がキター!

システムは機械ですから、必ず障害は発生してしまいます。

システムに障害が発生すると、情シスの見せ場だとばかりに急に元気になってお昼も食べずに、徹夜もいとわず対応する情シスさんがいます。いやぁ素晴らしい!情シスの鏡ですね!
でもですね、これは半分正解だけど、半分間違いなんです。

たしかに障害が発生して、どれだけ手際よく切り分けを実施し、障害を復旧させることが出来るのかという点では、見せ場であることは否定しません。

しかし、より優れたエンジニアは障害が発生しない設計だったり、障害が発生してもダウンタイムが少ない設計だったり、障害切り分けがしやすい設計を目指すものです。

そのため、優れたエンジニアが設計したシステムは問題発生が少なく、オペレーションコストの削減に貢献します。
反面、大きな問題もなく運用されているシステムであるため、そのシステムを使う社員にとってはその「すごさ」はどうしても見落とされがちになるのが悲しいといえば悲しいところですが。

「情シスのシステム運用担当者の成果は、活躍することが無かったことが成果なんですよ」

昔、システムを運用されていた先輩にこんなことを言われたことがあります。
情シスの仕事の1つとして、システムを運用する仕事がありますが、本来のシステム運用業務は障害が発生した時に対応することではなく、出来るだけシステム障害が発生しないようなシステムを構築することだったり、障害対策を検討したり、日々のメンテナンスを行ったりすることです。

以上のように、最も優れたエンジニアは、「限られた予算の中で問題の発生が少なく、問題が発生しても影響を極力小さくする」という点を考慮したシステムを設計することこそが情シス部門の見せ場です。

5.とりあえずベンダーに丸投げしておけばよくね?

情シス担当者の中には、メーカーやベンダーが紹介する技術や製品に心酔してしまって、メーカーやベンダーの言いなりになる情シスさんがいます。また、設計や構築だけでなくシステム構築のプロジェクト管理までベンダーに丸投げする人も。。。

もちろん、メーカーやベンダーのエンジニアは技術知識が豊富だし、頼りになるのも事実です。でも、何でもかんでも頼ってしまうのは非常に危険です。システム構築のキモとなる要件定義や仕様は情シス部門自ら決めるべきですし、逆にベンダー側が介入すると後々もめることになります。

プロジェクトが走り始めてから要件定義でもめることほど悲惨なことはありません。リリース予定日に間に合わずに結局無理矢理リリースして、運用段階でバグが見つかって大炎上なんてことにもなりかねません。

ユーザーの要件を満たして、企業のビジネスを真に支援できるシステムを作るためには、開発をベンダーに丸投げすることはできません。
メーカーやベンダーが情シス部門よりも得意な分野を見極めて、その部分を任せて、ベンダーの責任者と密接に連携しながらプロジェクトを運営していくことが重要です。

まとめ

以上、特に情シス担当者が陥りやすい勘違いをご紹介しました。

「はぁ? コミュニケーション? そんなの必要ねぇ!」とばかりに、凄い技術力があれば、情シスは務まると思っている方が多いようです。

でも残念ながら、高い技術力 = 有能な情シスは、必ずしも成り立ちません。情シス担当者として技術を探求することは、もちろん大事なことですし、ITスキルを持っていることは大前提だと思います。でも、それだけでは、情シスとしてバリバリ活躍できるかというと難しいでしょう。
情シスに必要なスキルは技術力だけではなく、高いリーダーシップやコミュニケーション能力も求められます。さらには、社内の各部署の業務に精通していることも大切になり、会社の戦略や会計に関する知識などなど、様々なスキルが必要です。

ITスキルは持っていて当然のスキルであり、そのスキルだけでこなせるほど、情シスの仕事のレベルは甘くありません。
「会社のビジネスに恒常的に貢献し、時にはビジネスをリードする情報システム部門」こそ情シス部門のあるべき姿であり、情シス担当の方はそのあるべき姿を実現するべく、業務を遂行していく必要があると思います。

そのためには、自社のビジネスモデルや製品、サービスに精通していることが大前提となります。

製造業なら、商品がどのような流れで作られるのかを理解する必要がありますし、サービス業ならどのようなサービスをどのようなビジネスモデルで実現しているのかを理解していなければ、ビジネスをリードする情報システム部門として機能しないでしょう。

たしかに大変な業務ではありますが、まるで経営者のように会社の様々なスキルを身につけられるチャンスでもあります。もしかしたら、情シス部門は将来の経営幹部の養成所といえるのかもしれませんね。

現場の業務を知らない単なる「ITオタク」の域を出なければ、経営層はもちろん現場のお客様も情シスに対してシステムをお守りする部門以上の期待を持ってはくれないかもしれません。これを機会に情報システム部門のあるべき姿を一度考えてみてはいかがでしょうか。

実は、情シス担当にとっての一番の褒め言葉は、「あなたって情シスっぽくないよね」と言われることかもしれませんね。

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