ルーティング・BGP -BGP Path Attributes (パス属性) その2-


BGP:MED属性(Multi-Exit-Discriminator)

MED属性は、オプション非通過です。マルチホームな構成で複数のパスがあるような場合に、外部ASから自ASへの入力トラフィックでどのパスを優先させるかを決定するような時に使用します。メトリックの値が小さい方が優先されます。

また、MED属性はAS間で交換されますが、そのASからさらに別のASへ伝達されることはありません。MED値が付与されていない場合、MED値はデフォルトで"0"が付与されます。


上図の例ですと、AS10からAS20への入力トラフィックでネットワーク10.1.1.0/24への通信はRTA~RTC間のパスを使用し、ネットワーク192.168.1.0/24への通信はRTB~RTD間のパスを使用したい時、RTC~RTA間のeBGPでの経路情報にMED属性として10.1.1.0/24のネットワークには"100"を、192.168.1.0/24のネットワークには"200"を設定します。

RTB~RTDかんのeBGPでの経路情報には逆に10.1.1.0/24のネットワークには"200"を、192.168.1.0/24のネットワークには"100"を設定します。AS10内のRTA、RTBは、それぞれRTCから伝達されたMED値とRTDから伝達されたMED値を比較し、ネットワーク10.1.1.0/24はMED値の小さいRTCをネクストホップに、逆にネットワーク192.168.1.0/24はRTDをネクストホップとして選択します。

 

BGP:LOCAL_PRF(ローカルプリファレンス)属性

LOCAL_PRF属性は、周知任意です。自ASから外部ASへの出力トラフィックでどのパスを優先させるかを決定します。LOCALという名前の通り自AS内のルータ間でのみ有効です。優先度はLOCAL_PRF値大きいパスが優先されます。LOCAL_PRF値のデフォルトは"100"です。


上図の場合、二つの異なるASからネットワーク192.168.1.0/24の更新がAS40に広告されています。RTDとRTFはそれぞれローカルプリファレンスを"300"と"200"に設定しており、その情報はAS40内のiBGPにてBGPルータに広告されています。ローカルプリファレンスは値の一番大きなパスが優先されるため、RTDを経由するパスが優先パスとなります。

BGP:COMMUNITY属性

COMMUNITY属性オプション通過です。COMMUNITY属性は宛先を一つのグループとして定義し、グループごとにそのCOMMUNITYに基づいてルーティングを行うことができます。

事前に動作が定義されているCOMMUNITY属性として以下のようなものがあります。

no-export このCOMMUNITYが含まれる場合は、eBGP ピアに広告されず、同一AS内でのみ広告される。
no-advertise このCOMMUNITYが含まれる場合は、どのBGPピアにも広告されない。

 

BGP:WEIGHT属性

WEIGHT属性Cisco独自の属性で、対象のルータでのみ使用される属性であり他のルータに伝達されることはありません。そのルータ自身が接続しているルートにはデフォルトで"32768"の値が割り当てられ、それ以外のルートの値は"0"になります。(WEIGHT値は0~65535で割り当てられる。)WEIGHT属性が大きいパスが優先されます。

上図の例ですと、二つの異なるASからネットワーク192.168.1.0/24の更新がAS40に広告されています。RTDはネクストホップRTBのパスを優先経路として使用場合、RTDにRTBから到達する経路のWEIGHTを"300"、RTCから到達する経路のWEIGHTを"200"とすることで実現できます。

 

BGPベストパス選択アルゴリズム

BGPでは、パス属性に基づいてベストパス(最適経路)を決定します。ベストパスを決定する為のプロセスは以下の表の順番で比較されていきます。

優先度 属性 説明
1
NEXT_HOP
経路比較を行う前に、NEXT_HOP属性にて経路の到達性を確認します。ネクストホップに到達出来ない経路は無効経路となります。
2
WEIGHT
Cisco独自の属性。
WEIGHT値が大きい値の経路が優先されます。
3
LOCAL_PREF
WEIGHTが同じ場合は、LOCAL_PREF値を比較し値の大きい経路が優先されます。
4
LOCAL
ローカル(自ルータ)で生成された経路が優先されます。
5
AS_PATH
LOCAL_PREFが同じ場合は、ASパスを比較して短い経路が優先されます。
6
ORIGIN
AS_PATHが同じ場合は、ORIGINを比較して IGP>EGP>Incompleteの順に優先されます。
7
MED
ORIGINが同じ場合は、MED値の小さい経路が優先されます。ただし同じAS内の隣接ルータから伝達されたMED値のみ比較します。同じ宛先の経路情報でも、異なるASから伝達されたMED値は比較されません。
8
PEER_TYPE
MEDが同じ場合は、iBGP経路から受信した経路より、eBGP経路から受信した経路が優先される
9
IGP METRIC
PEER_TYPEが同じ場合は、ネクストホップに到達するまでのIGPのコストが小さい経路を優先します
10
ROUTER-ID
すべてが同じであれば小さいルータIDのピアから受信した経路が優先されます

BGP -BGP Path Attributes (パス属性) その1-

 

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